院長ブログ・整形外科コラム

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整形外科コラム

2022年7月15日

骨軟骨腫(外骨腫) とは?

こんにちは。今回も前回に続いて外来で骨腫瘍の中で最も多い(とは言ってもそれほど多くありませんが)骨軟骨腫(外骨腫とも言います)について記載します。

骨軟骨腫は10歳代で受診される方が多い疾患です。膝周囲の骨に生じることが多く、何か硬い物が触れるということで来院されます。また、その硬い腫瘤によって関節が曲がりにくくなったり、腫瘤に筋肉がひっかかったり、また神経が圧迫されて痛みが生じることもあります。また四肢だけでなく肩甲骨(肩の骨)や骨盤の骨にも生じることがあります。

家系的に骨軟骨腫が複数の骨に多発することもありますが多くの患者さんは単発に生じます。

診断は、単純レントゲン像で行います。上の左側のレントゲン写真のように(左大腿骨の遠位部内側に骨軟骨腫が生じています)骨の先端に近い部位から有茎状(茎のような形)に腫瘍が生じています。ほとんどの患者さんは腫瘤を触れるだけのことが多いですが、整容的に目立つ場合や腫瘍によって関節の動きが悪くなったり、腫瘍に筋肉や神経が引っ掛かって痛みを生じるなど日常生活に支障を来す場合には腫瘍を基部で切除します(上の図:右側は切除後のレントゲン写真です)。治療は外科的に切除する以外に有用な方法はありません。

通常は骨の成長が止まると腫瘍は大きくなりません。大学病院勤務時には腫瘍が大きくなる成長期の患者さんの場合は年に1回程度、外来で経過観察していました。

稀に骨軟骨腫が悪性化し軟骨肉腫(骨のがんです)になる場合があります(上のレントゲン写真は骨盤の骨から生じた軟骨肉腫です)。悪性に変化する年代は成長終了後の30~50歳代に多く、急に腫瘤が大きくなったり、痛みが生じたりするようになります。そのような場合には早急に整形外科受診が必要です。

10歳前後のお子さんで膝周辺の骨や肋骨や肩甲骨、骨盤の骨に硬い骨の隆起が触れる場合は、痛みがなくてもぜひ一度整形外科を受診することをお勧めします。治療はともかく、診断をきっちりしておくことが重要です。



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