2024年4月10日
転倒して、机の角に胸をぶつけた後から痛みが生じたり、咳が続いたあとから胸の痛みが生じたりした場合、もしかすると肋骨に骨折が生じているのかもしれません。
図1 https://teachmeanatomy.info/thorax/bones/ribcage/ より転載。
肋骨は左右12対の骨です。
胸椎から前胸部の胸骨までをかごのように胸腔を形成し、心臓、肺などの重要臓器を保護しています。
上の図の青色の部分が肋骨、黄色い部分が肋軟骨、緑色の部分は胸骨です。
肋骨骨折はどのような場合に生じるのでしょうか?
転倒、転落や自転車・自動車事故などによる強い鈍的な力や咳が長期間続いた時にも生じます。
骨粗鬆症のある高齢者では軽い転倒でも生じることがあります。
複数の肋骨に骨折が生じている場合には胸腔内の肺や心臓、大血管に損傷が及んで生命に関わることもあります。
このような時には入院での治療が必要となります。
症状は骨折部に一致した痛み、皮下出血、腫脹などです。
寝返りなどの体動や、咳やくしゃみなどで痛みが強くなることもあります。
画像診断は胸部単純レントゲン撮影によって行いますが、肋骨骨折部の状態によっては骨折がはっきりしないこともあります。
後日再度、画像検査(単純レントゲン撮影や胸部CT)を行って骨折が判明することもあります。
図2 肋骨単純レントゲン像
上のレントゲン写真では矢印の部分に骨折を生じています。
ちなみに、肋骨の前方は肋軟骨(図1の黄色の部分)になっており画像では評価困難です。
治療は基本的には消炎鎮痛剤の内服、外用薬などで様子を見ます。
痛みが強い場合にはバストバンドと呼ばれる固定帯による圧迫を追加します。
バストバンドは息を吐いた状態で本体を引っ張りながら体に巻くようにします。
バンドの上下は矢印があるので間違いないようにしましょう。
通常は数週間の経過で疼痛は改善します。
骨折部の転位(ずれ)が強いときは手術を行うこともありますが非常に稀です。
寝返りや咳などで胸部の痛みが持続する場合はぜひ整形外科を受診してください。